第7章 ◆花火祭り
「 はい、そうですよ。
さっき一緒に居た時も
夏目先輩の話ばかりしていたんです。
・・・ぁ、
他のお友達のお話もありましたけどね。
でも西村先輩
自分の事あまり話さなかったので
それだけ
友達思いの優しい人なんだなぁって
私は思ったんです。」
「 そ、そうなのか。」
羨ましい、と
微笑みながら付け足して話すさな。
ー…なんだ、西村。
告白・・・なんて事はしてなかったのか。
さなの変わらない笑顔の姿と
さなの言う西村の話とで
夏目は内心ホッと安堵していた。
ー…それにしても、、、
「・・・俺の話って?」
西村とさなの恋路の行方を案じながらも
そこまで到達していない現状を知って
安心しきっている夏目は
自分の知らないところで
自分の話題が出ている事に
疑問を抱いた。
「 うーん、言っても良いのか
分からないですけど・・・。
西村先輩、
〝夏目はモテるくせに鈍感で
よく貧血で倒れる癖に無理をして
普段から何処でも周りに気を使い過ぎだから
偶には迷惑の一つくらい掛けて来い、
・・・友達なんだから。
その友達なんだからこそ、
俺の好きな子が夏目の事を好きだったら
俺の事は考えないで
夏目が全力で答えてやって欲しい。〟
って言っていました。
・・・だから、
私はてっきり・・・
笹田先輩の事かと思っていたんですけど…。」
「・・・そうだったのか。
…西村、
そんな事を言っていたんだな。
・・・大丈夫だよ、さな。
その話に笹田は関係ないよ。」
気づかわしげに話すさなに
夏目はすかさず、言葉を繋ぐ。
そして、
「教えてくれてありがとう、さな。」
「 え・・・はい。」
「 俺はね、どちらも大切なんだ。
だから、
その時が来るまで
今は今を大切にしていきたいんだ。」
ー…きっと、
俺のこの感情は
俺が気づく前から
西村は分かってたんだな。
・・・〝友達〟って、凄いんだな。
友情のお陰で知れた恋心に
ふっと微笑む夏目。
その横でいまいち分からないさなは
首を傾げ続けるだけだった。