第7章 ◆花火祭り
「さなは俺よりも年下だぞ、ヒノエ。」
さなの目の前に一升瓶を掲げるヒノエから、
さなを庇うようにして夏目が立つ。
「 ヒノエさん、
私が二十歳になったら
ご一緒させてくださいね。」
夏目の横からひょこっと顔を出して
さなが笑う。
「そんな約束してしまうと
二十歳になって早々潰されるぞ、さな。」
「 えぇっ、
そんな飲まされるんですか…。」
夏目のボソッと呟いた言葉に
敏感に反応するさなを見て
「相手は妖だからな。」
そう、からかうように笑ってみせると
さなは狼狽えながらも
「 頑張って、お酒、強くなろう。」
そう意気込むのだった。
ー…少しからかっただけなのに、
本当に素直な子だな。
夏目がぼんやりとさなを見つめていると
ふと、困ったように笑うさなと目が合い
途端に気恥ずかしくなり目を逸らしてしまう。
ー…目が合っただけなのに、
なんで恥ずかしくなる必要があるんだ、俺…。
ブンブンと頭を振り
脳を正常に戻そうとしていたとき、
「あ、」
「 ?」
夏目はふと、何かを思い出し
「さな
ちょっと、いいか?」
「 え?」
さなに視線を戻した後、回りを見て
皆が花火に集中しているのを確認すると
そのままさなの手を取り
こっそりとその場を離れた。