第7章 ◆花火祭り
「…さなっ?!」
夏目は声の主を確認すると
さなの元まで走り
さなの両肩を掴むと上から下まで
目で確認する。
「怪我はしてないか!?女の人のれ…」
「 あ、やっぱり!
夏目先輩も知っているんですね!」
夏目が言い終わらないうちに
なぜか納得し、ニコニコと笑うさな。
「いや、俺は笹田から話を聞いて…
って…あれ?西村は?
・・・さな、ひとりか?」
さな以外に
人気が無いことに気付いた夏目が
思い出したように尋ねると
さなは少しだけ気まずそうに俯く。
「 西村先輩・・・、
何処からともなく飛んで来た女の人から
私を守ってくれて・・・今気を失ってるんです。
私1人じゃどうにも出来なくて、
それで夏目先輩を探してたんです。
・・・夏目先輩が
すぐ見つかって良かった・・・。」
夏目の姿を見て安堵するように笑うさなが
夏目を見上げる。
「 ・・・っ」
優しく微笑むさなに
夏目は少し照れ臭くなり視線を外した。
「 そ、それで・・・、
西村は今何処に居るんだ?」
「 あ、こっちです!」
話を本題に戻す夏目に
思い出したように言うさなは
夏目の手を引っ張り
暗闇へと進んでいく。
「え、あぁ。」
有無を言わさぬ状況に
一先ず黙ってついていく夏目だが・・・
ー…普通に手を繋いでるが、
男の俺が後ろなのは恥ずかしいな…。
さなに対するその照れ臭ささは
抜け切れないで居た。
ー…って
そうじゃなくて!
女の人が飛んできて
さなを庇った西村が気絶って
一体どんな状況なんだ!?
というか、それでさなは平然と
俺を探しに来れるって…
も、もしかして…妖関連・・・?
夏目がそう悟った瞬間
現場に着いたらしく、さなの足が止まる。
「 あそこです!」
「 ・・・?結構暗いんだな。」
さなが指差す方向へ夏目が視線を送るも
ぼんやりと人影があるくらいで
その姿はハッキリとは映らない。
ーだけど・・・この気配は、
あぁ、やっぱり・・・。