第7章 ◆花火祭り
「 にゃっほーい!」
「・・・何やってるんだ先生…?
留守番って言わなかったか…?」
猫の真似をするニャンコ先生に
次第に苛立ちが募る夏目。
徐々にぷすぷすと音を立て
夏目の頭から怒りの煙が立ち上る。
そんな夏目を知ってか知らずか
「うっひょーい!
イッカ焼きー!」
ニャンコ先生は真っ赤な顔を晒しながら
夏目の手に掛かっていたイカ焼きの袋を
奪う様に咥えると
猫の真似も忘れてピョンピョンと飛び跳ねる。
「 ・・・・・・・・・・・・。」
その姿を見て、
我慢の限界を通り越した夏目が
額にピキピキと青筋を作らせ
そのまま、ゆっくりと拳を挙げ・・・
「とまれってんだ!
この中年エセにゃんこ!」
「 ぼふぅっ!!」
ニャンコ先生へと
右手ストレートを投下した。
その拳の強さに
ふわっと一瞬意識が消えるニャンコ先生。
「い…いか…やき…。」
ニャンコ先生は寝言のように呟き
夏目に殴られたショックで
イカ焼きの袋をポロリと落とし
そのまま横たえた。
「よ、用心棒を負かすとは…
反抗期か、夏目。」
「そんな中年臭撒き散らしながら
保護者ヅラしないでくれ。
そもそも、先生が用心棒なのは
俺の近しい人達しか知らないだろ。
西村には先生はペットとして
認識してもらってるんだから
変なことされると俺が困るんだ。」
右手を撫でながら
呟くように説得する夏目の横で
すぐ様回復したニャンコ先生。
「 ふん、お前の交友関係も
面倒なモノだな。」
夏目からの説教は何処へやら。
夏目への悪態を付きながら
ニャンコ先生はイカ焼きの袋へ頭を突っ込み
念願のイカ焼きをモソモソと食べ始めている。
「はぁ・・・。それより、
何でここに居るんだよ?
・・・あれだけ付いてくるなって言ったのに。」
相変わらずなニャンコ先生を前に
ため息一つ吐いて諦める夏目が
ニャンコ先生の横に座り問い掛けた。
ニャンコ先生は食べるのを止めて
袋から顔を出すと
「肝試し だ。」
そう、ドヤ顔を見せつけた。