第7章 ◆花火祭り
その頃、
「 わー!綺麗!」
夏目と笹田がいた神社の階段とはまた別の
階段の踊り場で花火を楽しむさなに
すっかり目を奪われている西村。
「ほんとに、きれーだよな。」
顔を綻ばせうっとりと
さなを見つめる西村だったが、
「 あの、西村先輩。」
ふと、視線を空から西村に変えて
さなが呼び掛けると
「おっ?!な、なんだいっ?!」
途端に西村は顔を赤らめ、視線をそらし
白々しくさなに返事をした。
「 夏目先輩と、笹田先輩は
探さなくてもいいんですか?」
「あー、ダイジョブ!
笹田には夏目が付いてるし、
夏目も一応男だからな。」
そう言って西村が笑って見せると
さなは不思議そうな顔をしていた。
ー…あ、あれ…?
俺変なこと言ったか?
「 笹田先輩は男の人だと、大丈夫なんですか?」
「へ…」
ー…そこー?!
うぶにも程があるっ!
夏目と一緒に居るからいかんのだ!
むしろ、夏目一族はみんなこうなのか?
遠縁の藤原夫妻もおっとりしているし…
って!今はそこじゃない。
私は女だからなぁ…と呟くさなに
西村が面と向き直り
「いや!あのさ、さなちゃん。
か弱い女の子は男に守られるべきであって
男はしっかり、
隣の女の子を守る義務があるんだ。」
西村は真っ直ぐさなを見据え、
そう告げる。
「だからさっ
お、俺も、さなちゃんを守るから
安心して、花火みて綺麗って言っててよ。」
言いながら徐々に顔を赤らめる西村は、
目を万丸くさせているさなから
視線を逸らすことなく告げた。
ー…これって、地味に告白っ?!
でも…きっとさなちゃんは…
「 はい、ありがとうございます。
心強いです!」
そう言ってさなはまた、
花火へと視線を戻した。
ー…やっぱり…
心強いって一体どういう意味だ?
この子は何から守られるつもりなんだ…?
とほほ、と涙目になりながら
西村は仕方なく花火へと視線を向けた。
ー…はあ、玉砕。
当たってもないけど…。