第7章 ◆花火祭り
「次はイカ焼きーっ!!」
「どんだけ食う気なんだ…。」
屋台を順番に巡り
ひたすら食べ続ける西村に
夏目は半ば呆れた表情で目を向ける。
「おい、夏目まさかもう腹一杯なのか?」
夏目の言葉に振り返った西村が
まさか、と目を見開くと
夏目がお手上げのポーズをして見せた。
ー…たこ焼きにエビせん、箸巻き、
綿あめ、カステラ、ついさっきカキ氷。
この場合、カキ氷ってシメじゃないのか…?
屋台を順番に回っているせいか、
食べ順もごちゃごちゃしている中
さなと笹田は2人で一つのものを
食べたり食べなかったりと
それなりに西村に合わせていた。
ーまあ、いいか。
さなも楽しそうだし。
女子2人で楽しそうに
カキ氷を突っ突く姿を見て
夏目はふっと顔を綻ばせた時、
「夏目!そんな少食だから貧相なんだぞ!
男たるものもっと食わなきゃ駄目だ!
さっ、行くぞ!」
西村の言葉と共に
夏目は腕を引っ張られ
イカ焼きの屋台へと強制的に並ばされていた。
ー…もう食べれないぞ、俺…。
夏目が変な汗を流しながら
この展開をどうしようかと
悩ませていたとき、
「 ニャンコ先生に、どうですか?」
いつの間にか一緒に並んでいたさなが
後ろから背伸びをしてこそっと夏目に耳打ちをする。
その声に夏目が後ろを振り向くと
「 ニャンコ先生、イカ好きですし。」
そうニッコリと笑っていた。
「それもそうだな。」
夏目がそう笑い返すと
丁度順番が周り、
西村には家で食べると言い訳をして
お土産用にと包んでもらった。
ー…そういえば、
ニャンコ先生からイカ焼き頼まれてたんだった。
本当は駄目だけど、
さなに免じて今日は特別だな。
そんな事を思い出しながら
夏目はイカ焼きの袋をぶら下げ、
陽が落ち暗くなり、少しひんやりとした中
3人と一緒にそろそろ始まる花火大会の会場へと
足を運んでいった。