第7章 ◆花火祭り
「こんな所で、一体何の話だ?」
「 ・・・!」
「 夏目先輩…。」
聞きなれた声に、笹田は驚き
さなが振り返ると
笹田を怪しむ目で見張る夏目が
そっとさなの肩を掴み支えていた。
「いっ、いやーねえ!
ガールズトークじゃないのー!
夏目くんは出入り禁止よ?
アハッハハハ…。
それより、西村くんはどこかしらー?」
いきなりの夏目の登場に
酷く動揺する笹田は
笑って誤魔化しながら覚束無い足で
屋台の方へと戻って行った。
ーやれやれ…。
「大丈夫か?
笹田から怪談話でもされてないか?」
「 はい、大丈夫です。
先輩が来てくれたお陰で
その話題まで行きませんでしたから。」
クスッと笑って答えるさなに
夏目はため息を零す。
ー・・・やはり、そういう類の話か・・・。
「 ごめん、さな。
今日笹田も居るなんて知らなくて…。
笹田はいつも俺の行動を不審がっては
構ってくるもんで少し苦手なんだ。」
夏目の困惑気味の表情に
さなは暫し笑顔のままで。
「 なんとなく、分かりますよ。
でも、折角皆で来たお祭なので
楽しみましょうね!」
お祭りなんて、私初めてです!
そう言ってさなは目を輝かせ夏目に微笑む。
「そうだな、戻ろうか。」
そんなさなの姿に夏目もふっと表情を緩め
西村と笹田の元へと足を進めた。
「 それにしても、
先輩はモテてるんですね?」
西村の元へと戻る道中、
さなから発せられたいきなりの言葉に
夏目はその場で立ち止まる。
「へ?…もて?
笹田に何か言われたのか?」
理解が出来ず、夏目が問い返すと
さなはニッコリと笑い
「 女の勘ですよ。」
そう言うとスタスタと前を歩いていった。
「 先輩、置いてっちゃいますよー?」
立ち止まったまま動かない夏目に
さなが振り返り声を掛ける。
「あぁ、今行くよ。」
その声に反応して、少し早足で進み
さなに追いつくと
夏目はさなの歩幅に合わせて
西村と笹田が待つ所へと戻った。