第7章 ◆花火祭り
そうして迎えた花火大会当日。
「おい、夏目
イカだぞ?イカだからな?
間違ってたこ焼きなんぞを買ってきたら
ただじゃ済まさんぞ!」
一際ウキウキと屋台のイカ焼きを
楽しみにしているのは
既に飲み散らかして出来上がっている
ニャンコ先生だった。
「ニャンコはイカ食べちゃダメなんだぞ?先生。」
身支度を終え
ふう、と座りさなの身支度を待つ夏目が
酒臭いニャンコ先生に文句を散らす。
ー
西村の誘いを聞いたあの夜
さなに花火大会のことを話すと
案の定、何も知らなかったさなは
目を輝かせ、ひとつ返事で『行きたいです!』
と言うと、それを聞いていた塔子さんが
浴衣の話を持ち出し
結局、当日は浴衣で行くとのことで
その身支度を夏目が待っている状況だ。
そして、
そんなうまい(食べ物)話を嗅ぎ付けているのは
言うまでもなくニャンコ先生。
「酒にはイカだろう!
ええい、夏目では話にならん!
私も連れて行け!」
夏目にイカを反対され
ニャンコ先生がワーワーと叫び夏目に飛び掛かる。
「駄目だっ!
今日は西村も来るから先生は
大人しく待っててくれ!」
そうして、バタバタと掴み合いに発展した頃
「貴志くーん!」
塔子さんが下から呼ぶ声が聞こえた。
「はーい!」
ニャンコ先生と掴み合いながらも
夏目はしっかりと返事をすると
掴み合っていたニャンコ先生を遠ざける。
「さなちゃんの準備が出来たわよー!」
その声にもう一度返事をすると、
乱れた服と髪型を軽く直し
「先生は留守番だからな!」
ニャンコ先生にきつく念を押すと
そのまま部屋を後にした。