第7章 ◆花火祭り
ー…俺と殆ど同じ境遇で
色々と心配ではあるけれど…
「…そんな事思ったことないぞ。
そもそも、さなは親戚であるし…」
その先を発言せず夏目が口篭ると
西村はぱっと表情を明るくさせた。
「そうだよな!
親戚ならお泊り程度のこと当たり前だよなっ!?
じゃあ、その親戚である夏目に
お頼み申す!」
いきなりの西村の問い掛けで
上の空になりかけている夏目の前に
西村がパンッと手を合わせると
「今度の花火大会、
さなちゃんも誘ってくれ!」
そう懇願した。
「…花火大会?」
ろくに眠れずいるせいか頭の回らない夏目は
西村の言葉に一瞬頭を傾げる。
「ちょ、夏目、もしかして…
花火大会という夏の最大イベントがあることも
知らないなんて言うなよ…?」
西村が恐る恐る聞くと
夏目は考える素振りもなく
「すまん、知らなかった。」
そう答えた。
「即答かよ!
はあ~、美形のくせに
何故こんなに無頓着なんだー??
健全な男子高校生が聞いて呆れるぜ。」
くそー!と惜しむように
夏目の頬をつねる西村に
夏目は追い払うように少し距離を置くと
「まあ、折角だし
さなに聞いてみるよ。」
そうニッコリと答える。
「お、おぅ…頼んだぞ!
それと、夏目も同伴だからな?」
「え?俺も?
さなと2人で行きたいんじゃないのか?」
西村の提案に夏目が目を見開く。
「あったりまえだ!
だが、夏のイベントは夜だからな
俺一人でもさなちゃんを守れるだろうけど
そのー…霊的なものは俺苦手なんだ。
その点、夏目が居た方がいいだろ?
だからまあ、そういうことで頼んだぞ!」
「えっ?それって」
西村が席を立つとと共に
午後の授業開始のチャイムが鳴り
西村はヒラヒラと手を振り
自分の席へと戻った。
ー…俺は妖からのボディガードってことか。