第7章 ◆花火祭り
それは、
夏休みを目前に控えた
とある昼休みのこと。
「夏目ぇーーーーっ!!!!!」
ードスンっ
大声で叫びながら
机に突っ伏している夏目を
踏んづけるように乗っかるのは
言うまでもなく、西村だった。
「んん…重、い…。」
ーどいてくれ…。
背中の重みに目を薄く開けた夏目が
顔だけを上に起こす。
御厨神社の一件より半月ほど経った今、
更にさなへのガードを強化した夏目は
時間に隙が出来ればさなの元へ行き
友人帳の名の返還を代理として行っていた。
それも、
李雲様と実体のない凪雲様
2人から体を依代とされたさなは
あれ以来、さなのもつ妖気が過敏となり、
少々の妖でも当てられやすくなったからだ。
ー…ニャンコ先生は
直に妖気も元に戻ると言っていたが、
しばらくは俺が返すしかないだろう。
その案が打倒策と夏目が考えた結果…
「夏目!
1年のさなちゃんと同棲してるって、
ほ、ほ、ほほ本当か…!!!?!」
こういう誤解を招くのだった。
「…同棲なんてしてないぞ、西村。
さなの保護者である叔父さんが出張で
しばらく家を空けるので
その間だけ親戚に当たる藤原夫妻に
さなを頼んだんだ。」
ー…なんていうのは後付けで
実際はたまたま叔父さんが出張続きだったから
俺が藤原夫妻に頼んだんだけども…。
そんなことを心の中だけで囁きながら
夏目は背中の西村を無理矢理押し退け
椅子に座り直した。
「なぁーーーっ??!!
それを同棲と言うんだ夏目!
なぜ、俺に相談せんのだ!
裏切り者ー!!!」
くぅ!と泣き真似をしながら
夏目の前の席に後ろ向きに座る西村に
夏目はふぅと溜め息をつくと
いつも通り、西村をなだめる。
「夏目…
夏目はさなちゃんのことが好きなのか?」
ー… え?