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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第6章 ◆名取の札 (弐)





目の前で消された凪雲。


僕は、しばらく動けなかった。


凪雲が…もう、いない…。






元々、神様としてではなく

山の妖、風の妖、として旅をしていた僕達。


邪気に包まれた山に

災害が絶えない村

そんな所を見つけ舞い降りたのがここだった。

その頃から凪雲は世話焼きだったなぁ。


凪雲が村を災厄から守ると

今度は僕に山の邪気をなんとかしろ、だって


僕からするとお節介とも取れる行動は

無力な人間たちからすると

神様だと崇められるんだ。


そして、僕たちのために

人間は神社を作ってくれた。

周期的に供物を持ってきてくれた。


僕たちは神様じゃないけれど、

人間にとっては神様も同然だったんだろう。


そんな毎日に退屈しながらも

凪雲と2人で過ごす日々は悪くはなかった。




…そして、

そんなことを思い出しながら

僕はすっからかんになった頭で考える。




僕たちは神様じゃないから、

祓う力を持つ者に一発浴びせられたら

いとも簡単に祓われる。


僕は、祓われる意図が掴めなかった。



この、平穏な毎日に

一体誰が…?




そんな時だった、



「李雲様…、逃げてくださいまし!」



普段は絶対に話しかけては来ない低級妖が

そろりと近付き、僕に注意を促す。



〝あぁ…。〟


カラ返事で答えると

僕は、その場に立つ。


…凪雲が消えた、その場で。




そうか、

考えても分からないんだよな。


だったら、

もう何も考えず…、



〝人間を消してしまおう、

凪雲の未練を晴らす為に。〟



そう誓った時だった。






山の木々たちが

唸るように撓ると

僕に何かを伝えてくれた。



後方より、

何かが僕を目掛けて飛んでくることを…。





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