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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第6章 ◆名取の札 (弐)





僕達の目の前に広がるのは

なぎ倒された木々と

燃え尽きたような黒い跡。

所々で小さな煙が上がっており

まるで、

此処ら一体燃やされたかのようだった。


その中央には

直線で描かれたような窪みもある。



「私が麓に降りていたら見つけたの。

…人間さまの、仕業・・・らしいわ。」


僕は目の前の光景に為すすべもなく

ただ見入っていた所に

凪雲が背後から小さく呟いた。


驚愕の後、怒りが満ち溢れてきた僕は

後ろを振り返ると


そこには、

見た事もないような

哀しげに顔を歪ませ

目を涙ぐませている凪雲が

僕を捉えている。



「李雲が、邪気を祓った虫やキツネも

死んじゃった…。」



溢れる涙の受け皿にするよう

顔を伏せた凪雲は

その場にしゃがみ込んだ。




何故、こんな事を…。


人間たち、許さないぞ。



僕は覚悟を決め

泣いている凪雲の横に膝をつくと

頭をくしゃりと撫でる。



「李雲…。

私たち、人間さまに嫌われたかな?」



こんな酷い仕打ちをされてまでも

人間に さま を付け、

恨む感覚の無い凪雲に対し

僕はその性分が理解出来ずにいた。



〝きっと、嫌ってなんかないよ。

元々、僕たちを必要ともしてなかったんだ。〟



僕の冷淡な言葉に

そんな…、とまたも泣き出す凪雲を

泣き止ます事はせず、僕は立ち上がった。





焦げた臭いも少し残る

目の前の光景を見渡すと

凪雲が言ってたように

キツネが2匹、体の一部を黒くさせ

横たわっているのを見つけた。


僕は黒焦げになった地面を進み

キツネの前に膝をつくと

せめて、天国へ成仏できるようにと

供養の言葉を掛ける。


〝苦しかっただろ。

助けてやれなくてごめんな。

邪念は払ったから、天国に行きな。〟


僕はキツネたちを撫でてやると

その場に立ち上がった。






〝許せない。

ゼッタイに許さない。〟



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