第1章 ◆少女の名
「……夏目、女子に興味が湧いてきたのか!?」
西村は俺の肩を掴むと
ガタガタと震える素振りをしながら
力なく揺らしている。
「あ、いや……西村が可愛いという子は
みんな髪が長いから、その子もそうなのかと……」
俺の肩を揺らす西村の腕をつかみ
やんわりと静止させ
誤解をされまいと
咄嗟に発した言葉に多少の無理はあったものの、
「あれ、そうだっけか?
あーそうかも!その子も髪長いな!」
うんうん、俺はロン毛が好きみたいだ。
と西村は頬を赤く染めながら
昇降口までのルートをズンズンと進んでいく。
「……やはり、レイコらしいな。」
西村に置いていかれた俺に
鞄の中で鳴りを潜めるニャンコ先生が
静かに発した。
「……。」