第6章 ◆名取の札 (弐)
「 うっ…。」
李雲様を探し続けること数十分。
神殿内最北の角部屋へと差し掛かった所で
毒気のある妖気がさなを包み込み
さなは目の前が揺らぐ感覚に陥り
咄嗟に近くの壁に手を突いた。
……例の妖?
さなは体制を整えると
角部屋の襖に手を掛ける。
そして、ゆっくりと開き
中を伺うように覗き見るとそこには
「 …李雲、様…?」
背丈はさなと同じ程の、
華奢な体型の男の子が微笑みながら立っていた。
〝よく、僕の居場所が分かったね。
これでも
上手く隠れてたつもりなんだけどな。〟
「 ・・・っ!」
まるで遊んでいる子供のように
笑顔で話す李雲様の前で、
まだ頭がぐらつくさなは
蹌踉めきながらも何とか
目の前の李雲様へと集中した。
〝・・・ふふ。
気分が悪い?〟
李雲様は少し楽しそうに、
そして、何処か哀しい目を向け
ゆっくりとさなに近づく。
〝・・・巫女さん。
さっきは掃除をしてくれてありがとう。
…僕を祓いに来たんでしょう?〟