第18章 ◆柴田ノ恋
「何がどうなっているんだ?
どうして行けないんだよ、」
二人は何度も進もうと奥へ向かうが
見えない壁に隔たれて暫く難航していた。
どうにも、行けないらしい
それを見上げて
柴田が悔しさを吐いた。
「・・・恐らく、結界が張られてるんだ。」
ー・・・気配はこの奥から来る。
柴田とは対照的に
夏目が少し息を切らせながら言った。
柴田には気配の事は伝えず、
夏目は柴田を見て方法を巡らせる。
ー・・・さなは目覚めた時に
真っ暗だったと言っていた。
ここは、まだ入口から近くて光が入る。
きっとこの奥まで連れていかれたんだ。
・・・だとしたら、何か方法があるはず。
「さなが通れて、
俺たちには通れない。
さなと俺たちの違い・・・」
小さな声で呟くように零れた
夏目の言葉。
それは、静かな洞窟内では
柴田にしっかり届き、
考える夏目の横で
只管見えない壁へ体当たりしていた柴田が
ため息を混じえて動きをとめた。
「・・・男女の差か?
女子は良くて男はダメってか。
面食らうぜ。」
ふん、と鼻で笑って
再度体当たりを開始する柴田。
体力の限界までやり続けるような勢いだ。
ガツン、ガツン、と
柴田が物理的に壊そうとしている横で
夏目は尻餅をついたままの体勢で
腕を組んで考える。
「男女・・・の差、
・・・
・・・
・・・あ、そうか!
男女の差だ!
柴田、下を掘るぞ!」
ハッと閃いたように声を上げる夏目。
その声は大きく
柴田はまたもや動きをとめて
夏目へ振り向いた。
「な、なんだよ。吃驚した。
下を掘るって正気か・・・?
一体どういう事なんだ?」
夏目の指示に疑問符を頭上に浮かべながら
訳も分からず取り敢えず従う柴田は
真下の土をゆっくり掘ることにした。