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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第18章 ◆柴田ノ恋






カタカタカタ、カタカタカタ




まるで何かを只管小突くような

細かな音が鳴り響く。






「 う、・・・ん?」




ボヤける視界の中

まだ痛む頭を押さえて

辺りを見渡そうと

さなは起き上がり


なんとか音のする方へと

視線を向けたものの


それは真っ暗な中

小さく光るだけにしか見えなくて

よく見ようとして目を細めた。



その時、





「おぃ、小娘っ。


やっと起きたか小娘っ!」



甲高い声が背後から掛かり

さなはビクッと肩を震わせて

ゆっくり後ろを向いた。





「人間の小娘が一体

こんな所で何やってんだっ!」


頭の先から声を絞り出すような

そんな声で捲し立てるように話す

亀のような小さな妖。


その亀は一言説教を入れると

亀らしからぬジャンプをして

パスン、とさなの頭を小突いた。



「いたっ!

わ、私は・・・その気付いたらここに」



「早く行かねーと、

あの方が起きちまう。

そうすれば手がつけらんねーぞ!


肝試しなんかで来るんじゃねえ!」



この亀の妖は

さなに聞きたいのか

自分が話したいのか


さなが返事をしてる最中でも

さなの言葉を遮って

説教を挟む少し厄介な性格だった。



「妖力が強いからと言って

ノコノコとやってこられて

たまらないぜ!


どうせ逃げるなら最初から来るな!

ほら、目覚めちまう前に

さっさと行け!小娘!」




はぁ、とため息を零して

呆れながら瞬速で話したあと


急かすようにさなの背中を押した。



「あ、あの・・・!」




状況を把握したいさなにとって

今頼りになるのは目の前、いや

背後の亀のみ。


なんとか、振り返ろうとするも

小さなその亀の力は何とも強く、、



さなは為す術もなく

ずるずると背中を押されてその場から

連れ出されてしまった。

















「 うぅぁ゛ぁ・・・」




微かに響いた唸り声は

さなの耳まで届かなかった。





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