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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第18章 ◆柴田ノ恋




「大丈夫かなぁ、」



「何が、大丈夫だって?」





ニャンコ先生が飛び去った後を見つめ

ボソッと呟いたさなの言葉に


まさか、返ってくるはずのない声が

さなの背後から響いた。



「 ・・・っ!」



さなはビクッと肩を震わせ

恐る恐る振り返ろうとした、


その瞬間




その声の主はさなが振り返るよりも早く

さなの目の前に回り

その両肩を掴んで店裏の壁へ押しやった。





「やっと、捕まえた。」





ニコリと笑う先程の笑顔、

目にかかるふわふわの前髪に邪魔されて

その瞳から心情を伺うことは出来ない。


そう、さなの目の前の人物は


初対面でさなとぶつかり、

さなを助けてはくれた

少しチャラついた見掛けない他校の男子生徒。



モテる部類の異性(夏目以外)は

さなにとって名取のトラウマのお陰で

苦手な種族となっていた為

素早く逃げてきた所だった。



ーそうだ、すっかり忘れていた。



ニャンコ先生のやり取りで

忘れてしまっていた。

この人から逃げていた所だった。


しかし、よりにもよって

こんな店裏で捕まってしまうなんて最悪だ。

誰にも見つからないし、

先に夏目が家へと着いているかもしれない。


ーどうしよう、



こうなれば手段は一つ、

この広い静かな田園地帯に

緊急を知らせる方法。





「だ、誰かっ・・・っんむ!?」




叫ぶ!・・・所で目の前の人に

口を塞がれてしまった。




「 叫ぶな、俺怪しい奴じゃないから!」



「んんっ・・・!!」



と、目の前の明らかに怪しい人物は言うものの

怪しい人に限ってそれを否定するのは

ドラマの世界だけでは無いらしいと

さなは自覚した。


口に被さった手を退けようにも

体格差、男女の力量の違いもあって

ビクともしない。




「 んん、んぅ・・・!」



何とか声を絞り出すにも

塞がれてしまっては篭った声が出るだけ。




「 参ったな・・・


もう、誤解も解けそうにないから

単刀直入に言うけど」





踠くさなをこれ以上

抑えつける事に罪悪感を感じて

口を開いたその瞬間

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