• テキストサイズ

†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第18章 ◆柴田ノ恋






・・・しかし、

今回は違った。





柴田の行動に

目の前の少女は更に不審がり

手持ち鞄を盾にするよう胸に抱え

一歩どころか、二,三歩後ずさったではないか。




「・・・」



「・・・」




ー・・・へ、?




予想外過ぎた展開に柴田は動けず、

背中には恥ずかしさで冷や汗が流れる。





そして、

二人の間に妙な沈黙が流れた。


ニコリと微笑んだ柴田のスマイルは

違う意味で目の前の少女の視線を

釘付けにさせていた。








しかし、そんな沈黙を打ち破ったのは

目の前の少女だった。







「け、喧嘩・・・ですか。


それとも、女子生徒のナンパですか・・・?」




「は、?」






「ぃ、田舎だから、どちらも

あなたに釣り合う人は

うちの学校には居ません・・・っ!」



「おい、待て待て・・・一体何を勘ち」



「では、失礼します!」






柴田の言葉にも耳を貸さず

少し怯えながら捲し立てるように

少女が言い切れば、

踵を返す如く来た道を

走って戻ってしまった。





「えぇーっ!ちょっと、待てよ!」



あんなに拒絶されるとは、

柴田にとって前代未聞である。



少し長いくせっ毛を整えた

目にかかるほど伸びている前髪は

巷で流行りのものだが、

此処はそうではないらしい。

少し崩して着る見慣れないブレザー姿も

恐らくこの町では

チャラついて見られるのだろう。



柴田は初めての玉砕に心を痛めつつ

あの少女の誤解を解くべく

その足を走らせた。






ー・・・納得いかねぇ、俺が振られるなんて。


それに・・・


あの子を逃したらその他の通行人が

居る気がしねぇ・・・っ!







柴田は縋る思いで少女を追った。



/ 406ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp