第17章 ◆花イチ匁
「 な、夏目くん・・・
何が盛り上がったって言うのよ?」
「 ・・・花一匁。」
「 はな、いちもんめ・・・?」
「 あぁ、みんなでやったんだ。
それで疲れて寝ちゃったんだよ。」
夏目の、少し満足そうに話す言葉に
さな以外がポカンと、
はてなマークを掲げていた。
「 やべぇ、全然覚えてないぞ、俺。」
「 俺もだ・・・、西村。」
「 そんな、そんな楽しそうな事やってたのに
覚えてないなんて・・・北本!」
「 あぁ・・・、これは一大事だぞ、西村。」
「 そんな美味しい話、
夏目だけ覚えてるなんてズルいぞ!
よし、今からもう一回戦だ!
いいな、皆野共!」
「 おー!」
そう言って
夏目の話を信じきった西村と北本は
笹田と実代、
そして、
夏目とさなの手を取り
真横の林の中へと入り込んだ。
「 お、おい・・・
誰もするだなんて言ってないぞ!」
「 そうよ!
もう下校時刻はとっくに回ってるのよ!」
少し開けた場所に出ると
西村と北本は掴んでいた四人の手を離し
夏目と笹田の言葉さえ
ニカッと笑って受け流した。
「 誰もするとは言ってないが、
しない とも言ってないぞ?夏目。」
ニヤニヤと悪い笑みを浮かべて
夏目の肩に腕を回し西村が言った。
「 此処は学校じゃないぜ?笹田。」
辺りを指差し
これまた悪い笑みを浮かべて
北本が言った。
この二人の言葉に
はぁ、と溜め息を吐く夏目と笹田だが。
「 やりましょ、まだ日は暮れてませんし。」
「 楽しそう!私もやりたいです、先輩方。」
上級生組のやり取りを見て
さなと実代が笑顔で輪に加わる。
そうして、始まる
本当の花一匁。