第17章 ◆花イチ匁
「 良かった・・・!
みんな、無事か?怪我はないか?」
西村、北本に続いて
実代と笹田が起き上がり
寝ぼけ眼で口を開けば
夏目とさなは二人、
顔を見合わせ安堵の溜め息を吐いた。
そして、
夏目がかける声に
四人は自身の体をチェックし頷く。
「 ところで、
俺達なんで、こんな所で寝てったんだ?」
「 そもそも、
さなちゃん達が消えてしまったとか
なんとか言ってなかったか?」
「 そうよね、
私もなんだか夏目くんに
そう言われてたような・・・」
上級生組が目を閉じ必死に
記憶を手繰り寄せるものの、
その後を知らない四人は
考えても何も出てこない。
だが、しかし・・・
「 あ!そうだわ!
望月さん!
あなたがいきなり走り出して
居なくなったのよ。
平然とこの場で立っているけど、
何か隠してんじゃないの?
ねぇ、一体何があったの?
教えなさい、上級生命令よ。」
笹田一人だけは消える前の記憶を
きっちりと思い出し
ビシッとさなへ指を突き付けた後
捲し立てるように言葉を並べた。
そんな笹田のあまりの気迫に
ビクリと肩を竦ませ、
困惑の表情で後退るさなは
笹田に肩をガッチリ掴まれ
後退出来なくなってしまった。
「 え、っと・・・私もあんまり、
覚えてなー・・・」
「 そんな筈ないわ!」
「 へ・・・」
言葉を濁して誤魔化そうとするさなだが。
さなが言い終わらないうちに
笹田は食ってかかる。
「 まぁまぁ、その辺にしとけよ笹田。
さなちゃんが困ってんじゃん。」
「 そうだぞ、いくら上級生命令だって
覚えて無かったら話すもんも話せないだろ。」
「 うるさいわね、男子。
今は女子の話の最中よ。
園田さんが居なくなったから
望月さんが走って行ってしまったのよ。
その後だってー・・・」
ガミガミと叱るように
さなへ向けられる言葉。
もう誰も笹田を止められない、
西村と北本がそう思った時、
「 皆、ちょっと盛り上がりすぎたんだよ。」
笹田の肩に夏目の手が触れた。