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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第4章 ◆二人きり








「詩滝、

君へ返そう。」







夏目のその言葉に


詩滝 の文字は

光と共に詩滝へと返された。




「うっ……。」


詩滝の強い妖気が

夏目に直に当たる。


少しふらつきながらも

夏目はその場に留まると


詩滝は嬉しそうな表情を見せ


「孫、孫、アリガトウ。」

と、飛び跳ねるように体を変形させていた。




その姿に

夏目はふうと安堵の表情を浮かべると


「土筆、もう何年も見てないんだろう?

はやく行かないと今年も咲き終わるぞ。」


2人にそう促した。



その夏目の言葉に2人は顔を見合わせ

そそくさと部屋を後にしようとする。


そして、出ていく間際、

刹凪が足を止め振り返ると




「レイコの孫よ。ありがとう。

そのレイコは、レイコではないのだな。

間違えていてすまない。




さな…と言ったか、

良く見るとレイコよりも可愛らしい顔立ちだな。

無理強いをしてすまなかった。

ありがとう。



……2人のレイコの孫よ。」



刹凪は

申し訳なさそうに告げ

その場を後にした。



夏目は刹凪と詩滝の姿を見送ると

さなの元へ膝まづき

荒い呼吸を繰り返すさなを横抱きにし

側にあるベッドへ横たえると、

はあ、と溜息をこぼした。



「さな、

俺も同じ、レイコさんの孫なんだ。

いつでもさなの味方であるし、

いつでも頼って欲しい。


この先、さなが

友人帳の全てを独りで背負わなくていいんだ。」



夏目がさなの顔に掛かる髪を掬い分けながら

そう言うと、




さなは


ありがとうございます。とだけ言い

意識を手放した。




「夏目、

さなの保護者が帰ってきたようだ。

もう行くぞ。」


ドアの外を伺うニャンコ先生がそう告げると

夏目は立ち上がり



「じゃあ、また学校で。」



さなの頭をひと撫でし

部屋を出ていった。



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