第4章 ◆二人きり
「さな…!」
その姿に夏目は思わず声を上げるが
友人帳の頁はどんどんと捲られている。
……返してあげなきゃ。
さなはそう心に決めると
詩滝の姿を強くイメージし続ける。
すると、
友人帳がピタリと1枚のページを立たせ
捲るのを辞めた。
その瞬間、
さなは目の前がぐにゃりと歪み
重力に逆らえず
そのまま床に直撃する形になると
衝撃に耐えるために目を瞑る。
すると、
衝撃は無く
代わりにふわりと包まれるような感覚に陥った。
恐る恐る目を開けると
そこには見慣れた顔が前方を向き
その真剣な眼差しを次第に
さなへと落とす。
「さな、
これ以上は君が壊れる。」
夏目がそう言い残すと
その場にさなを優しく寝かせ
「少し、休んでくれ。」
そっと囁き夏目は立ち上がると
床に落ちた友人帳を手に取り
目を瞑り、友人帳を捲らせた。