第17章 ◆花イチ匁
「 ・・・え、?」
強く、言い放つ夏目に
さなは一瞬表情が固まり
そして、徐々に険しくなった。
「 いいんですか、?
・・・大切なお友達を
見殺しにしちゃっても。」
「 ・・・。」
先程の
笑いながら話す軽さは消えているさな。
少しイラつきさえも感じられる言葉に
夏目は、鋭い視線のまま何も答えなかった。
そんな夏目を一見して
さなは諦めたように
小さくため息を零す。
「 ・・・じゃ、
もうあの四人は要りませんね、、
そんなに、ワタシが欲しいなら
もっと楽しい勝負をしましょ?」
「 ・・・楽しい、勝負・・・?」
仕方無く、といった表情で
提案したさなに
夏目が疑問点を口にすると
さなはくすっと笑い
夏目に近付いた。
「 えぇ。
今から、
ワタシと夏目先輩がジャンケンをして
勝った方が負けた方を殴る。
負けた方は、勝った方に殴られる前に避ける。
そして、どちらかが
殴られ力尽きて倒れたら勝負は終了。
・・・仕方ないから、
夏目先輩が勝ったら
この子、返して上げますよ。
ワタシ 優しいでしょう?」
「 そん、な・・・っ。」
さなの言うルール
それは夏目が負ければ
さなは返してもらえず。
夏目が勝ってさなを取り戻すには、
さなが力尽きて倒れる程に
夏目自身が殴らなければならない。
憑いた妖よりも
さなの身体にダメージが集中してしまう為
そんな事は夏目には出来ない。
困り果てる夏目を見上げて
ふふ、と笑うさな。
その笑いはいつもの素直なものではなく
どこか悪意のある笑顔・・・。
夏目は、見慣れている筈のその表情さえ
見ることが出来ず
視線を外した。
「 出来ませんか ?
ワタシ、を殴る事が。」
嘲笑うかのように続けるさなは
笑顔を止めない。
「 ・・・っ。」