第17章 ◆花イチ匁
「 おーい!
何処だっ?」
つい先程まで居たはずの西村と北本。
その姿を見つけるべく
夏目は二人の影を探し
その名を呼ぶが
何処に視線を向けても
二人のその姿は見つからない。
「 ⋯一体、何処にっ。」
ー⋯っ!
グッと拳を握りしめ俯く。
嫌な予感と気配、
そして焦りが夏目を支配する。
一番に起きて欲しくない事が起こったのだ。
大切な誰かを
妖が見えてしまう自分のせいで
巻き込んでしまった。
焦りと同時に恐怖も湧き上がり
気が遠くなる。
「 ⋯。」
しかし、
ここで投げ出せる筈も無く
夏目は最善作を頭の中で巡らせた。
そして、
顔を上げ、勢いよく振り返る。
「 ⋯笹田、
今すぐ⋯に⋯、
⋯っ?!」
何とか笹田だけでも
家に送り届けよう、と
振り返った夏目の目には
見慣れた田園風景のみで
「 ⋯笹田、?」
笹田が居たはずの場所へ戻る夏目だが、
そこに笹田の姿は無かった。
「 ⋯くっ、」
先程過ぎった嫌な予感が的中する。
「 ⋯皆、」
しかし、夏目は考える間もなく
その場を掛け一目散に走った。
ついさっき、笹田に教えられた
さなが走っていった方向へ。
それは、
毎日通る、歩きなれた道。
学校へと繋がる通学路。
ー⋯待っていてくれ、皆⋯!