第17章 ◆花イチ匁
「 ・・・あら?
そういえば、園村さんが見当たらないけど?」
「 え?」
ワイワイとじゃれ合う男子を眺める最中、
笹田が辺りを見渡して呟く。
言われるがまま、さなも
実代の姿を探すべく辺りを見わたすが、
「 ・・・居ない、
ど、どうして?・・・さっきまで居たのに。」
殆ど田んぼと林の中
探すその姿は無く、
さなはただ呆然と立ち尽くした。
「 実代ちゃん・・・?」
ー・・・まさか、さっきの歌声の・・・?
「 私、探して来ます
先輩方は先に帰っていて下さい・・・!」
「 えっ?
ちょ、ちょっと?!
望月さんっ?待ちなさいよー!
ここは皆で探す方が・・・!」
ー・・・もう、なんて足の速さなの・・・あの子!
すっと駆け出したさなは
笹田の声すら聞こえないような
風のように駆け抜けてしまい
畔道から林へと入り、その姿を消した。
そんなさなの姿を
見送ってしまった笹田は小さく溜息を零し
「 こらー!男子!
いつまでやってんの!」
先程のさなとのやりとりすらも
一切気が付くこと無く
いつまでもやりあう男子に活を入れた。
「 いでっ」
「 うがっ」
「 ぅわっ・・・!」
西村と北本には得意の鞄アタックで
夏目はその首根っこを引っ張り
じゃれ合う輪から無理矢理引っ張り出した。
「 ・・・なんなんだよー?」
「 西村のせいで
俺まで巻き添えを食らったじゃないか。」
「 俺のせいじゃないだろ!
大体、夏目には何でその攻撃しないんだよ。
夏目贔屓も大概に・・・」
「 こうでもしないと
あんた達止めないでしょ?
日が暮れちゃうわよ!もう。
そんな事より・・・」
「 笹田、」
男子のじゃれ合いは収まったものの
いつものようにやり取りが続く中
笹田が話を切り替えようと発言するが
夏目がそれを遮った。
「 な、夏目くん・・?」
至極真剣な表情で
夏目は笹田の至近距離まで詰めて
その目を見つめる。
夏目に詰め寄られ顔を紅く染める笹田へと
夏目は真剣に問うた。
「 さな達はどうしたんだ。」