第16章 ◆雨乞儀式
星屑のような黄色い破片だけを残し
最後の蝶がぽつり、と消える。
黄色い星屑はひらひらと
女狐妖のさなの頭上へと舞い降り
ふわり、とさなの頭に乗った。
「 ⋯?」
明るい黄色い星屑の光に気付いた女狐妖が
顔を上げてさなの頭へと視線を置く。
「 どうしましたか?」
自分の頭上を眺め首を傾げる
目の前の女狐妖に、
何も見えないさなは
その姿に首を傾げながら問い掛けたが
女狐妖は無言のままで
さなの頭に乗る黄色い星屑を手に取った。
「 何かが下りてきた。」
見やすいように手のひらに乗せて
さなの目線の下の位置まで下ろすと
ぽつりと呟く。
「 ⋯これ、は?」
小さく光る黄色い星屑。
それは良く見れば
強弱をつけて輝きを放っている。
不思議なその物体にさなはまた
首を傾げて問いかけるも
女狐妖にさえ、
それは分からないといった表情で
さなに微笑んだ。
「 最後の蝶が残した物だ。
消えないところを見ると
何か意味があるのかも知れません。」
「 蝶、ということは、
日照雨様の残した、⋯最期の光。」
女狐妖がさなに手のひらに乗せた
黄色い星屑を向ける。
そして、さながゆっくりと手を伸ばし
その星屑に触れた。
その瞬間ー
チリン⋯
微かな鈴の音を響かせ
その星屑は
強い光を放って、姿を変えた。
「 ⋯これは、!」
思わず声を上げるのは女狐妖。
星屑の放つ強い光に少し顔を背けるが
視線はそのままだ。
そうして、
強い光が徐々に収まる。
それは、黄色い星屑の
変化終了の合図であった。