第16章 ◆雨乞儀式
「 ・・・ク・・・、早・・・く
行、け・・・っ!」
ニャンコ先生の光線に当てられ
一気に残された力が無くなる日照雨様。
その姿自体を保てる時間さえ
そう長くは無いのだろう。
そんな目に見えた状態である日照雨様は
ふるふると震える指先を
月明かりの差す方向へ向け、
振り絞って声を上げる。
それは、出口を差すものだという事は
その場に居る三人に伝わった。
「 日照雨様・・・」
「 行こう、さな。」
「 消える際の邪念に当てられ兼ねんぞ。
退散するなら早めに越した事は無い。」
苦しむ日照雨様を
ずっと見入るさなの肩に
夏目が手を置く。
そして、
招き猫姿に戻ったニャンコ先生の言葉で
どうしようもない現状と突き付けられ
酷く脱力するさなの手を取り
夏目は歩き出した。
「 ・・・見られたくないだろ。
神である自分が、
力尽きて消える有様なんて・・・。
・・・誰にも・・・」
「 夏目先輩・・・。」
ボソッと零すように呟かれた夏目の言葉に
さなも俯きながら小さく頷いた。
そして、
三人が雨乞いの儀の間を出ようとした
その瞬間
ー・・・ズキン、!!
「 ーぅ・・・あ、っ・・・!」
さなの頭に割れるような激痛が走り
夏目の手から離れ、その場に崩れた。
「 さな、っ?!
どうしたんだ・・・?!」
夏目がさなを支えながら
呼び掛けるものの
「 、ぁ、頭が・・・っ、!」
頭を抱え、
悲鳴に近い声を上げるさな。
「 ・・・頭・・・?
まさか、日照雨様が?」
「 いや、これは他の妖だな。
夏目に異常が無い所を見ると
さなの着物に術を掛けた輩だろう。」
「 着物の犯人・・・
・・・!」
夏目が日照雨様に目を向けるも
その姿は先程と変わりなく、
ニャンコ先生が話し終えた瞬間
夏目の背後から
強い妖気が伝わってくるのを感じた。
・・・・・・・・・イク ナ・・・!!!