第16章 ◆雨乞儀式
・・・
・・・ナ
イ・・・・・・
・・・・・・ナ・・・・・・・・・・・・
・・・・・・クナ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・イクナ・・・・・・!!
「 っ、!!」
真っ暗闇の中、頭の中に谺響する
誰からか分からない声でハッと目を開ける。
「 こ、・・・ここは?」
痛む頭を押さえながら顔を顰め
真っ暗な回りを見渡すさな。
「 なつ、め先輩は・・・?」
つい先程まで
背中を摩り側に居てくれた
その存在を探すも、気配も無く、
暗闇に慣れてきた目で見る
目の前の景色は
先程居た場所とは明らかに違う。
「 ・・・?」
そんな真っ暗な中見えるのは
だだっ広い和室、
そしてさなが凭れている壁の前方には
大きな壺が置かれており
ほんの少し、月明かりに照らされて
繊細な模様に微弱な明かりを灯していた。
「 これが、壺・・・」
壁に手を付き、支えにしながら
その場に立ち上がり
ゆっくりと壺の前へと進む。
近付けば分かる、
壺から出る異様な雰囲気と
さなが歩き進む度に揺れる
月明かりに照らされた模様が妖々しい。
そして、さなが壺の中を覗き込もうとした
その瞬間ー
「 目覚めましたか。」
さなのすぐ背後から
聞き覚えのある低い声色が耳を掠めた。
「 っ!」
息遣いですら大きく聞こえる静寂な中
足を擦る音すら立てずに背後にやって来た声に
さなは思わず肩を跳ね上げ、振り返る。
「 そ、日照雨 様・・・!」
狐面により表情は分からないその姿に
さなは無意識に一歩下がった。