第16章 ◆雨乞儀式
「 先生、どういう事だ・・・?」
夏目がゆっくりと振り返り
ニャンコ先生に問い掛ける。
「 どうも胡散臭いと思ったのだ。
アイツ、日照雨はもう
その力が無いようだぞ。
恐らく、
雨乞いの儀を遂行する義務感で
女狐妖の妖力を喰って
今まで繋いでいたのだろう。」
「 ・・・喰う、って・・・?」
ニャンコ先生の冷静な見解に
一つ、
夏目の額を冷や汗が流れていく。
「 儀式を行える者は
妖力の強い事が前提なのだ。
その力が無くなったアイツは
儀式を遂行出来ん。
しかし
この社に入るのは
儀式の際に女狐妖と二人きり。
誰も見てはいないし
力の弱った日照雨が
最終手段として力を蓄える為に
嫁役の女狐妖を喰うには
絶好の機会だろう。
最初は一人だけ一回だけ、
と割り切って喰った事が
一年経てば
また同じ事を繰り返すのさ。
逸れたという
女狐妖の気配がこの社に無いのは
既に喰われて
此処に居ないからだろう。」
「 そん、な・・・!」
見る見る内に顔色が蒼白になる夏目、
ニャンコ先生の言葉に
拳をグッと握りしめ
一瞬の間、
残された僅かな妖気に意識を集中させ
はっと前を向くと
月明かりの強い廊下へと駆け出した。
「 ・・・っ!
早く止めないと・・・!」