第16章 ◆雨乞儀式
「 そ、そそそれでは・・・
儀式を再開致しま、す。」
ぎこち無く言葉を紡ぐ子狐妖。
その背後には
日照雨様、さな
ニャンコ先生、夏目
と並び
社の前に控える二名の子狐妖が
子狐妖の言葉を合図に
社の扉をゆっくりと開け始める。
ギィ・・・
ゆっくりと重そうに開かれる扉。
「 ・・・。」
思わずその先を覗き込もうと
目を細めるさなと夏目だが
その先は暗く闇が広がるのみ。
「 参ります。」
扉が開き切ったと同時に
日照雨様が隣のさなへ優しく声を零す。
「 お願いします。」
少しの緊張と恐怖を纏いながら
さなは息を呑んで答える。
ー・・・探すって決めたの。
絶対見つけて帰ろうっ!
心の中で意気込み深く頷く。
「 ・・・?」
その後ろで夏目がさなの行動に
疑問を抱いている事も知らず
四人は社の中へと進んだ。
パタパタ
パタパタ
社の中では
四人の草履の摺足音だけが谺する。
社内は暗闇ではあるが
四人が通る毎に
壁に備えられた蝋燭が灯されるので
視界の暗さは然程気にならない。
「 自動点灯とはハイテクだな。」
「 はいてく?とは?」
「 下界の最先端技術の略称だ。
神の癖に知らんのか。」
「 おい、先生
神様に向かってそんな言い方は無いだろう。」
「 構いませんよ、夏目殿。
私は人間の世界はあまり知らぬのです。
子狐に夏目レイコという名の
強力な人間が居るという事しか
聞いてはおらなんだ。
人間も面白いものだ。」
ふっと笑い歩み進める日照雨様は
どこか悲しげな雰囲気を纏って
一度さなに視線を置いてから
前方に向き直った。
「 ・・・?」
日照雨様の行動に不審を抱いたのは
背後の夏目。
狐面の所為で視界は悪く良くは見えず
殆どは勘のような感覚である。