第15章 ◆狐ノ嫁入
ニャンコ先生の言葉に
大きめの耳をピクリと動かせ反応し
間髪入れず取付く子狐妖。
妖二人のやり取りに
夏目とさなはもはや
止めに入ることもせず
お互い視線を合わせ苦笑する。
「 ・・・愛情の裏返し、
みたいなものか。」
「 ふふ、そうですね。
実は仲良しなんでしょうね。」
小さく呟く夏目に対し
微笑んで肯定するさなが
夏目の横へと移動して
ニャンコ先生と子狐妖のやりとりを見つめた。
「 無理してないか?さな」
「 え・・・?」
ニャンコ先生と子狐妖を見つめているようで
何処か遠くに視線を置くさなに
夏目がそっと問い掛ければ
さなはハッと現実に戻されたような表情で
隣の夏目を見上げた。
しかし、その表情は一瞬で
すぐに目を細めて微笑むと
さなはそのまま細めた視線を足元へ落とす。
「 ・・・ふふ。
無理はしていませんよ。
少しだけ、私に務まるのかなぁって
不安はありますけど・・・。
・・・なんて、おかしいですよね、
自分でやるって言っておいて。
お天気を変える
重大な役目ですし、しっかりします。」
俯き話すさなの表情が無くなったと思えば
顔を上げ夏目に対しニコリと笑って
意気込むさな。
「 ・・・さな。」
ー・・・あぁ、こうやって。
・・・こうやってこの子は、
いつも無理をするんだ。
さなの笑顔と言葉を信じていない訳では無い。
しかし、その奥にあるさな自身が
無意識に塗り替えようとする心情を
夏目は少しだけ感じ取る。
「 さな・・・。」
そして、自然とさなの頭にそっと手を置き
「 ・・・?」
さなが夏目を見上げ
二人の視線が重なった時
「 俺がついてる。
・・・成功、させような。」
そう夏目が優しく微笑むと
さなの頬は徐々に赤くなり、
「 ・・・はいっ。」
満面の笑みで答えた。