第15章 ◆狐ノ嫁入
ガタガタと揺れ着地する籠。
「 わっ!」
不意打ちだった揺れに
さなは思わず目を瞑る。
その揺れが収まり
静かになると
ゆっくり目を開け窓の外の景色を見れば
「 ・・・っ!」
見慣れない真っ白な景色に息を呑む。
そしてその時、
カチャンと音を立てて
籠の扉が開かれた。
「 さぁ、着きました。
どうぞお出になって下さいませ。
・・・ここが、雲の中の国。
我らの住む場所でございます。」
ニコニコと微笑みながら
外の景色へ手を向ける子狐妖とその仲間。
「 わぁ・・・凄い・・・!」
「 まるで、雪景色のようだな。」
真っ青な空の真下には一面真っ白な雲の地面。
天と地を交互に見比べ
見た事も無いそのコントラストに
夏目とさなも感激の声を漏らす。
「 天の気を司る神、日照雨様が
貴女が来るのをお待ちしていますよ。
私に着いてきて下さいませ。」
小さな子供のように辺りを見渡すさなに
子狐妖がそっと近付き囁く。
そして、
さなに背を向けて
ゆっくりと足を進める子狐妖のあとを
さなをはじめ
夏目とニャンコ先生も追い掛けた。
まるで、城のような造りの建物へ向かって。
「 なんだ、あれは。
こんな立派な住まいがあって
嫁が来ないとは・・・
余程、中身が難有りなのだろうな
その、日照雨とやらは。」
目の前の大きな城のような建物を見上げ
思わず零すニャンコ先生の悪態。
「 失礼な!達磨狸め!
立派なお屋敷であろう!
天の気を総括する日照雨様に
ピッタリなのであります!」