第15章 ◆狐ノ嫁入
小走りに森の中を進む子狐妖の後ろを
夏目と夏目の肩に乗るニャンコ先生と
さながゆっくり、ついていく。
「 こちらが迎の籠となります。
ささ!
お乗りくださいませ。」
そうして着いた先には
子狐妖と同じ背丈で同じ身形の
毛並みの色が若干異なる子狐妖が数名
大きな真っ黒の籠を取り囲む様に待機していた。
夏目たちを引き連れた子狐妖が
草の音を立てて登場した為に
待機していた他の子狐妖達が
一斉に夏目とさなに視線を向ける。
「 なんと!・・・これはこれは・・・・・・!」
「 な、夏目様・・・!!」
「 漸く見つかったのだな!」
次々に口を揃えて零す子狐妖たち。
その視線は分かり易く喜びに満ちていて
そのまま全員が三人の元へ近付いた。
夏目とさなは
自然とお互いに視線を合わせ
その籠へと視線を向ける。
「 あれに乗るのか?」
「 えぇ!さようで御座います。
実際の雨乞いの儀式にも使う籠ゆえに
乗り心地は最高級ですよ。
ささ、お乗りくださいませ。
・・・ほら、皆退くのだ。
夏目様のお通りだぞ。」
夏目たちの周りに集まる迎の子狐妖たち。
ぼーっと見つめる者も居れば
口々に感想を零す者も居る。
その皆を押し退けるように
手で退かし道を作る子狐妖が
籠の取っ手を掴み
ゆっくりと開けて中を見せた。
「 なんと!
立派なものだな!
酒はあるのか?」
「 広いなぁ。」
「 なんだか、豪華ですね。」
中を覗き込むようにして
見渡すニャンコ先生と夏目とさな。
各々感想を述べながら
お邪魔します。と声を掛けて
ゆっくりとその籠の中へと足を踏み入れた。
「 では、出っ発ーーー!!!」
三人が席についた事を確認して
子狐妖が号令を掛ける。
すると、
ふわり、と籠が浮き
ゆっくりと空へ向かって飛び立った。