第15章 ◆狐ノ嫁入
「 へぇ・・・結構器用なんだな。
それに、
隷のお前に作ってやるなんて
優しい神様じゃないか。」
「 そうなのです!
流石は夏目様!
観点が素晴らしいでございますね!
日照雨様は私のような隷の妖にも
然と目を掛けて下さる
とてもお優しい方なのです。」
夏目のさり気ない言葉に
頬を薄ら赤く染めた後に細めた目をして
うっとり顔になる子狐妖。
「 ・・・ふん、
暇を持て余しとる神の暇潰しだろう。
そんなもの、私だって作」
「 そんな神様に嫁が来ないって
一体どういう事なんだ?」
夏目と子狐妖のやり取りに
僻むように口を挟むニャンコ先生だが
その僻みは最後まで言わせては貰えず
呆気なく夏目に遮られる。
「 こら、夏目
私を無視してまで何を聞いている!
関わるなと言っ」
「 よくぞお聞きなられた夏目様。」
ニャンコ先生が再度、
夏目に忠告しようものなら
今度は子狐妖に遮られ・・・
「 むっ!
二人揃って私を無視するとは・・・!
ふーんだ、
もう助けてやらんからな!」
僻みすら聞いてもらえないニャンコ先生は
遂には拗ね始め
夏目と子狐妖にプリンっとお尻を向けて
夏目の横に丸まった。
そんなニャンコ先生は
スルーされ続け
夏目と子狐妖の会話は進む。
「 梅雨の時期、
我らは雨を降らす為の儀式
雨乞いを致します。
その雨乞いの儀式とは
日照雨様への嫁入り儀式と云われ
毎年、お嫁様と呼ばれる女狐妖が
参加されているのでございます。
女狐妖が居て
初めて出来る儀式ではあるのですが・・・。
・・・近年、
その女狐妖の参加が絶無の状態で
雨乞いの儀式が出来ていないのです。
儀式が出来ていない事によって、
梅雨らしからぬ雨の降りようと成り
雲すら現れぬ気候と成ってしまい・・・。
どうにかせねば、と思い
妖力のお強い夏目様に
お願い致しました次第です。
・・・どうか、我らに
力をお貸し下さい。」
説明を終え、地面に額が擦れる程
夏目の前で頭を下げる子狐妖。