第15章 ◆狐ノ嫁入
子狐妖が顔を上げ
受けた攻撃によりヨタヨタと起き上がりながら
またも、その場に立つ。
そして、先程のように夏目を見上げて
再度
日照雨の嫁にと声を上げようとした。
しかし、
「 ・・・ッ!」
「 ・・・ニャッ!」
子狐妖が見上げた先には
ギョッと顔を青くする夏目とニャンコ先生。
「 ・・・はて、
如何なさいましたか?」
雨乞い云々も忘れ
子狐妖は目の前の二人に問い掛けると
夏目がプルプルと震わせる人差し指を
子狐妖の顔のど真ん中に向かって刺した。
「 わ・・・割れてる・・・ぞ?
か、顔が・・・!」
「 ふむ?」
夏目が指差す額から鼻にかけての辺りを
子狐妖がすっと手で確認すれば
確かにある窪み。
そーっと回りを見渡して
目に映るカーブミラーの前へ
ピョンと飛び上がれば
その中に写るのは紛れもない
額から鼻にかけてヒビが入ると共に
ぱっくりと割れた自身の顔。
「 あらま。・・・これはこれは。
先程の達磨狸のせいでございますな。」
鏡を見るなりスタッと地面に降りる子狐妖。
しかし、その様子はあまり驚いていない。
「 だ、大丈夫なのかそれ・・・?」
夏目が声を掛ければ
子狐妖がニマリと笑い・・・
ー・・・パカッ。
その顔を離した。
「「 えええええぇ!!」」
夏目とニャンコ先生の声が重なったのは
言うまでもなく・・・。