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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第14章 ◆誕生ノ日





「 だから、さな。

さなが謝る必要なんて無いんだ。


サプライズ、とても嬉しかったよ。

・・・ありがとう。」




さなの背中に当てられていた夏目の手は

さなの頬へ移動し

直ぐに壊れそうなさなの頬を

包み込むように優しく撫でた。




「 先輩・・・。


助けに来てくれて、

ありがとうございました。」



夏目が微笑めば、

さなも笑って返す。




そんなさなを見て

夏目はふと思い出す。



・・・先程、

さなの姿が中庭に見当たらない事に気付き

妖の声の元へと向かうつもりが

田沼に引き留められた事。


そして、その時点で夏目は

さな一人で妖の方へ向かっただろうと

薄々、予感はした事。


それは

周りを誰よりも大切に想うさなだから。

きっと、誕生日の夏目に気を使って

一人でなんとかしようと行動したのだろう。


・・・分かっていた。




しかし、

そのさなを放っておく事も出来ず

田沼にはトイレだと嘘をついて

夏目はその場を離れた事。



その後、

妖の気配を辿って着いた先では

さなが友人帳の名の返還をしたすぐ後で

事なきを得た状態に夏目は少し安堵し

さなにバレないよう

こっそりと夏目が身を引こうとしたその瞬間、


その場に崩れるさなに

素早く覆い被さり

口を大きく開いていく紫樽の姿が

夏目の視界に映った。


夏目は考えるより先に

さなの元へと駆け付け

さなから紫樽を引き摺り下ろして

瞬時に自身の拳を紫樽へ投下していた。



そんな経緯を振り返りながら浮かぶ感情は

暖かくて、少し焦れったいような。

夏目にとっては表現しようのない難しいもので。




ー・・・結局、放ってはおけなくて

常に気がかりになる存在なんだ。


さなが俺の為を想ってしてくれた事は

愛おしい程に嬉しく感じる。


でも、俺は・・・

もう少し欲を言えば・・・


近くで笑っていて欲しいんだ、さなに。



「 ・・・さなが無事で、良かった。」



感情を押し殺して

投げ掛ける言葉は優しいものだった。


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