第3章 ◆二人出会
殺気立った如羅を目の当たりにし
さなはビクッと体を震わすと
夏目の胸元へ視線を落とし、目を瞑る。
「夏目、
こんな低級妖、逃がすまでもなく
私が喰いちぎってやるぞ。」
どこからともなく聞こえる胡散臭い声に
さなは振り返り
声のする方に目を向ける。
……ーねこ?
そこには
猫と言うべきなのかも戸惑う
丸々とした招き猫が喋っていた。
その猫の言う事を聞いてか聞かずか
「如羅、ニャンコ先生に食べられる前に
はやく逃げろ。」
夏目が如羅にそう諭すと
如羅は少し怯んだ様に
遠い山へと飛び去っていった。
その姿を見届け、一息つくと
夏目は抱き留めていたさなを解放し
向かい合わせに座ると
「やっぱり、君が友人帳を持っていたんだな。」
ため息混じりでそう言った。
さなは事態がしっかり把握できず
ただただ、疑問が増える。
「 どうして友人帳を知ってるんですか?」
さなが疑問を投げ掛けると
夏目はふっと目を細め
自分の鞄から一冊の冊子を取り出すと
さなに表紙を見せた。
「 ゆう…じんちょう…。」
〝友人帳〟と書かれたその冊子を見て
自分の持つ友人帳と見比べる。
夏目の持つ友人帳はかなり汚れていて
厚みもさなの友人帳より
遥かに薄くなっていた。
「俺も、友人帳を持ってるんだ。
夏目レイコの…孫だから。」
その言葉に
さなは疑問の山が崩れていく。