第14章 ◆誕生ノ日
「 そもそも、
樹液って殆ど固形だろ?!
飲み物でもないだろ!?」
「 いや、液っていうくらいだし
飲み物だろ。」
「 いーや、違う!
ぜーったいに、固形だ!」
「 いや、西村なら飲み物だ!」
「 どういう意味だよっ!」
終わらない西村と北本の言い争い。
その一見下らないやりとりに見えるものでも
夏目にとっては穏やかな空間だった。
そして、
「 な!夏目、樹液って固形だよな?!」
「 いや、液体だよな!夏目?
液って付いてんだし!」
その迸りが来るのはいつも夏目で。
「 えぇーっ・・・。」
その二人の小さな揉め事への対応に
少々困惑しながらも、
夏目はこの変わらない空間に
安堵していた。
ー・・・この会が終わるまで
出て来ないといいけれど・・・。
夏目は
先程の妖の声を気にしつつも
今は目の前の行事に集中することにした。
先程、妖の声を共に聞いた
さなの姿が無いことに気付かず・・・。