第14章 ◆誕生ノ日
「 ・・・なん、だ・・・?」
夏目は恐る恐る目を開け
自身で開けた襖の奥へ目を向ける。
・・・すると、
『 ハッピーバースデー!!!!』
重なる沢山の声と
細長い色とりどりの紙が
夏目の頭にふわりと舞い落ちる。
「 ・・・ッ!」
夏目は目を見開いた。
そして、
次第に理解できるこの状況。
襖を開けた目の前に広がるのは
風船や折り紙で飾り付けられた部屋と
その中央に並べられる料理と大きなケーキ。
その両端には
先程、別ルートで向っていると報告された北本と
用事で来られない、と聞いていた筈のさなが
それぞれクラッカーを持って
笑顔で立っている。
「 ・・・これ、って・・・」
夏目が後ろを振り返れば
中庭に降りていた筈の西村と田沼、
それと多軌が真後ろに立ち
笑顔でクラッカーを手にしていた。
「 夏目、誕生日おめでとう。」
「「 おめでとー!」」
「 おめでと。」
「 夏目先輩、おめでとうございます。」
田沼を先頭に
西村と北本が声を合わせ
多軌が部屋の中へ移動し
さなの横に立ち、
最後にさなが夏目に微笑む。
「 みんな・・・。」
目の前の光景、それは
夏目が予想だにしていなかった光景。
誕生日を公言していなかった上に
自分さえも今日が誕生日という事を
殆ど忘れていた夏目。
皆が協力して夏目の為にと
準備をしてくれていた事に
夏目は胸のうちが熱くなった。
「 ありがとう、皆・・・。」
出てくる言葉は短く。
だけど、胸の中はいっぱいに詰まる。
少しだけ恥ずかしい気もしながら
それ以上の幸せな感情に浸る夏目が
皆を見渡した。