第14章 ◆誕生ノ日
そうして、四人が歩くこと20分足らず。
先頭を歩いていた西村が
ふと、足を止め目の前を見上げた。
「 ・・・さて、着いたぞ。」
「 ・・・?ここ、か?」
西村が止まった先
そこは
「 田沼の・・・家?」
そう、
そこは何度も訪れたことのある
夏目の見慣れた日本家屋。
皆で集まることは予定していたものの
夏目は何処へ行き何をするかは
一切知らされていない。
いつも通り、
皆が集まりそこで決めるものだと思い込み
西村の提案にも反論する事なく
何をするか疑問にも思わずついてきた夏目。
着いた先が
一緒に来ていた田沼の家と分かり
拍子抜けした。
「 まぁまぁ、入れよ夏目。」
ポカンと田沼の家を見上げる夏目の背中を
グイグイと押し
玄関の引き戸まで押しやる西村。
あたかも我が家の様に振る舞う西村だが
そこは紛れもない田沼の家だ。
「 入れって・・・
そもそも、ここは田沼の家だろ・・・?」
押されながらも冷静に。
夏目の零す言葉は的確だった。
「 いいんだ、夏目。
夏目が暑くてバテる前に
一番近い俺の家で
少し休憩しようって話になったんだ。」
「 え、そんな話・・・
い、いつの間に?
俺は別にバテてなんか・・・」
「 ほらほら、つべこべ言わずに入れって。
そうやって夏目はいつも無理するから
倒れるんだろー?
今日は休みながら外を満喫しよーぜ!」
困惑する夏目を他所に
田沼が微笑みながら我が家の戸を開ける。
そして、夏目の言い分はお構い無しに
その家内へと四人は足を踏み入れた。
「 お邪魔しまーす!」
その元気な掛け声と共に。