第14章 ◆誕生ノ日
真後ろで声が聞こえ
さなが慌てて振り向く。
「 なっ夏目、せ・・・先輩っ?!
ど、どうして?
というか、いつから其処にっ?!
まさか・・・、
今の・・・聞いてましたか・・・?」
それは、さなが今さっき呟いたばかりの
〝会わない方が良さそう〟な相手、
誕生日のサプライズをする
主役である夏目本人が立っていた。
「 ・・・?
いや、俺はあちらの橋で
ここを通るさなを見掛けたから
追い掛けてきたんだ。
もう、暗くなってきているし
一人だと危ないから家まで送ろうと思って。
そしたら、
会わない方がいい・・・と聞こえたから
妖に絡まれたのかと思ったんだけれど。
・・・どうしたんだ?
もし、
俺が聞いちゃ駄目な話だったら
聞かないけれど・・・。」
明らかに挙動不審な目の前のさな。
夏目が普通に話し掛けただけなのに
ビクリと肩を震わせ
目をまん丸くさせる姿から
夏目も気を遣い、深くは追求しない。
「 あ、・・・そ、そうだったんですね。
ありがとうございます。
・・・えーっと、あの
会わない方が良さそうって言ったのは
そのー・・・
えっと・・・、
・・・あ!
ニャンコ先生!・・・です。
今は・・・、私ダイエット中で・・・!
そう、私がダイエット中でして
ニャンコ先生見ちゃうとつい
お饅頭食べたくなっちゃうから
会わない方が良さそうだなぁ・・・なんて。」
引き攣った笑いを貼り付け
探り探りで結果的に
無茶苦茶な言い訳をするさな。
「 へぇ・・・、
そうだったのか。」
身振り手振りで
何とか話を繋げ終えたさなに
さらっと短く返す夏目。
流すようにさなを見詰める
夏目の切れ長な視線からは
その心情は読めないが、
「 ・・・ダイエットなんて、
しなくてもいいのに。」
どうやら、さなの話を
信じているご様子・・・。