第14章 ◆誕生ノ日
「 それで
夏目くんの誕生日当日は
田沼くんと西村くんと北本くんと私で
出掛ける予定なんだけど、
途中で田沼くんのお家に急遽お邪魔する
っていう口実を作って
ケーキを持ったさなちゃんが登場するの!
そこから
サプライズパーティをしようと思ってて
・・・どうかなぁ?
夏目くん
喜んでくれると思う?」
頬を赤く染めながら
夏目の誕生日当日のプランを話す多軌。
その姿はおそらく
誰が見ても可愛いと思えるだろう、
同性のさなさえも
多軌を見ていて顔が綻ぶ。
そんな多軌が練った作戦。
自信満々に話し終えた多軌が
さなに聞けば、
さなも多軌に同意するように笑う。
「 えぇ、素敵だと思います。
夏目先輩喜んでくれますよ、絶対に。」
「 本当?
・・・良かったぁ・・・!
じゃぁ、
夏目くんのお誕生日は明後日だから
明日の放課後ケーキ作りましょ?
また、迎えに行くわね!」
「 はい、頑張りましょうね!」
そう言って約束を交わす二人は
先程の周りを警戒する心は薄れていて
キャッキャとはしゃぐようにして
細かな計画を立てていく。
ケーキのデコレーションや
その買出し、部屋の飾り付けの構成。
クラッカーが煩くないか、等も含め
緻密なプランを
二人は分かれ道ギリギリまで話し合っていた。
そうして
殆どが決まった頃、
「 よし、
これだけ決まれば後は実行するのみ、ね!」
「 ・・・はい!
完璧だと思います。」
「 それじゃぁ、
今日はここで帰りましょう!
また、明日の放課後にね!」
お互いが気合を込めて強く頷き合った所で
家へと帰るべく解散する。
「 さようなら。」
ニコニコと笑って手を振る多軌を見送って
さなも自分の家への帰路を進んだ。
「 ・・・明後日かぁ
先輩には隠し事バレちゃいそうだし
なるべく会わない方が良さそう・・・。」
そう呟きながら家路を進むさな。
・・・その瞬間、
フッと背後に来る僅かな気配。
「 ・・・誰に会わないって?」
「 ッ!」