第13章 ◆本音の絆
「 ・・・で、どうですか?
さなの容態は・・・。」
三人が病室を後にして10分程度が過ぎた頃
主治医と女性看護師が共に部屋を出て
三人の待つ小さな待合室へと現れた。
その姿を確認した夏目が
いち早く主治医の元まで駆け寄り
さなの状態を問えば
「 ・・・えぇ、問題ありませんね。
今日一日だけ様子を見て
明日の朝、何も異常が無ければ
そのまま退院して構いませんよ。
・・・今は会話もしにくい様ですが
数時間も経てば
普通に話せるでしょう。」
カルテを見ながら告げる
主治医からの退院という言葉。
それを聞いてほっと安堵する三人。
「 はぁ・・・良かった・・・。」
その中でも一番に安心していたのは
ここ数日ずっと
病院に通っていた夏目だった。
さなが倒れ、入院してから
何度来ても変わらない
さなの眠る姿に
ー・・・もし、このまま目覚めなかったら・・・。
そう不安に陥る時もあった夏目。
そのさなが
目を開け、見詰め
そして言葉を交わし、笑う。
ずっと見て来たさなの表情の筈なのに
それは遠い昔の記憶のような
不思議な感覚に陥り、
笑うさなを見て
少し懐かしい気持ちにもなる。
そんな夏目は、
主治医に深々と礼を告げて
さなの病室へと戻った。