第13章 ◆本音の絆
忙しなく交わされていた会話が
ピタリ、と止む。
そうしてさなも含めた四人の視線が
扉へと集中した時、
その扉はゆっくりと開かれた。
「 ・・・失礼します。」
謙虚な挨拶と共に入室する
真っ白な膝下まである白衣を身に纏い
カルテを片手にした女性看護師を一人
背後につけたその人物は
先程、夏目が呼びに行ったと言う
さなの主治医。
「 ・・・目覚めたと聞いて来てみれば
一気に賑やかですねぇ。
楽しくしているのは構いませんが
此処は病院ですので、
他の患者さんに迷惑にならない程度に
お願いしますよ。」
ニコニコと笑う笑顔が印象的な
健司と同じ年頃のような
スラットした男性医師。
その優しい雰囲気から
廊下まで筒抜けだった三人の会話を
注意をする仕方さえも見た目の印象通りだ。
「「 す、すみません・・・。」」
「 これは、失礼致しました。」
主治医の注意という事で
素直に謝る三人の背中は
少しだけ小さく見えた。
「 では、
今から望月さんの診察するので
部外者は退室願いますね。」
「 あ、はい。」
三人を一人ずつ見てから放つ主治医の言葉に
女性看護師が扉を開けて三人の退室を待つ。
三人共、
主治医の言葉に従い
イソイソと病室を後にした。
ーパタン。
扉が閉められた途端に
シーンと静まり返る病室。
「 ・・・五月蝿いのも困りますが
静か過ぎるのも、寂しいものですね。」
そう主治医が呟く言葉に
さなは笑って答えた。
「 ・・・まぁでも、
此処に居る間は安静に。
早く良くなって、退院してから
彼らと存分に会話してくださいね。」
「 ・・・はい。」
「 では、診察始めます。」
優しく交わされる言葉に
さなも答えるように。
主治医による診察が進められていった。