第13章 ◆本音の絆
「 さな、分かるか?
何処か、痛い所とか無いか?
気分が悪いとか・・・」
さなが目覚めた事で
喜びを全面に出す夏目が
珍しく、口早に質問で攻める。
さなは一瞬は驚くものの
その見知った夏目の姿に
自然と表情が緩んでいた。
そして、
目で確認できる限り
夏目の体に怪我の痕が無い事から
さなは何処かほっとしていた。
「 ぁ、・・・は・・・い。」
そんな夏目の質問に
さなは笑顔で答えようとするが、
丸二日眠っていた為に
開口したところで上手く呂律が回らず
辿々しく返事をするのが精一杯だった。
「 あぁ、ごめんさな。
つい・・・嬉しくて、
勢いで言ってしまったけど
無理に話さなくていいんだ。
・・・はぁ、
本当に良かった・・・。」
頑張って答えようとするさなに対し
すぐ状況を理解した夏目が謝罪する。
そして、
握ったままのさなの手を
夏目は自身の額に押し付け
溜息混じりに吐く本音。
それは、
心底さなの身を案じていたからこそ
呼吸のように自然と出るものだった。
「 ・・・さな、」
夏目は俯いたまま
さなの名を呼びかける。
「 ・・・?」
さなは声を出す代わりに
目を丸く開いた。
「 ・・・健司さんも、無事だよ。
酷い怪我だったから
今は違う病室で眠ったままだけど
もう、
回復に向かってるみたいなんだ。」
ゆっくりと顔を上げ
さなに健司の現状の報告をする夏目は
優しく微笑んだままで。
「 ・・・良かっ・・・た・・・。」
さなは夏目に向かって
笑みを零しながら答えた。
「 ・・・あぁ、そうだな。
さなも良くなったら、
健司さんのお見舞に行こう。」
穏やかな表情で
提案する夏目に
さなはただ、笑って頷いた。