第3章 ◆二人出会
ー放課後ー
「さな、一緒に帰ろう?
…って思ったんだけど、
帰りも先生のところ行くんでしょう?
また明日ね。」
昼間と同様に誘いを申し出る実代は
さなの帰り支度の焦り用から
この後の予定を察していた。
「 実代ちゃん、何度もごめんね。
まだ行かないといけなくて…。」
さなは昼休みの書類整理では
片付かなかったものを
放課後に引き下げてしまっていた。
その為、2度も実代の誘いを断る羽目になり
またも肩を落とすと
実代からは
大丈夫だって。と笑いながら
昼間と同じように、諭されるのだった。
そして、実代に別れを告げ
帰り支度を済ませると急いで職員室に寄り
残った書類整理に取り掛かる。
外は放課後の部活動をする生徒が増え
昼間よりも校庭が活気づいている。
そんな中、
ペンを持ち書類に目を落としていると
「望月、
今日はもう帰りなさい。」
5分もしないうちに先生からそう告げられ
さなは首を傾げる。
「残りの書類はほとんど、
先生だけで出来るから
もう帰っていいぞ。」
残して悪かったな。
そう付け足すと、先生は片付けを始める。
呆気にとられたさなは
頼りなく頷くと同じように片付けを始め、
そのまま学校の校門を出た。
部活動をしている生徒の声を後ろに
まだまだ明るい空を見上げ、
そのまま森の方へと目を向ける。
……ー森に行かなきゃね…。
早く帰れることに安堵したものの
昼間の妖との約束を思い出し、
鞄の中の友人帳をぎゅっと握ると
さなは足早に森へと向かった。