第12章 ◆夜が明け
「 ・・・ぅッ」
背後の二人に目を向けていると
微かに聞こえる柔らかい声。
「 ・・・さな!」
名取と的場が妖を封印していなければ
夏目が襲われていたであろう。
二人への感謝の言葉は後回しにして
今は目の前の弱々しい姿を夏目が支えた。
「 ・・・夏目、先輩。」
パタパタと数回繰り返される瞬き。
瞬き毎に大きく開かれる瞳。
声で夏目と判断したさなが
はっきりと目を覚ました時、
さなは
視界に映るもう一つの影へと視線を向けた。
「 ・・・ぇ、・・・・・・なん、で・・・・・・」
その影がはっきりと確認出来た時
さなが夏目の腕から零れるように
這い出て
その影の前で両手を着いた。
「 ・・・さな」
先程の黒煙を大量に吸っているさなは
座る事も儘ならない。
そのさなの肩を優しく支え
その名を小さく呼びかける夏目が
ふっと俯く。
「 どうして・・・、」
さなが震わせた声を零す。
「 ・・・け、健司・・・さん・・・・・・・・・。」
力無く横たわるその姿に向かって・・・。