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†夏目友人帳† ​~新友人帳物語~

第12章 ◆夜が明け





夜が明けかけ、

薄らと明るくなっていた窓の外の景色は

一瞬のうちに暗闇へと呑まれていた。





「厄介な者で無いと願いたいね。」




そう、ぼそっと零れる名取の本音に




「・・・残念ながらその確率は

かなり低そうですね、周一さん。


私は飼い慣らせそうな妖なら

どんな厄介者でも

受け入れて差し上げますよ、ふふ。」



バッサリと切り捨てる的場は

大なり小なり妖の存在自体を

的場一門の貢献に過ぎない、

とでも言うように嘲笑った。



そして、名取と的場

二人が好奇的に笑った目を合わせた時




「・・・禍々しい気配に変わったな、

此処に来るようだぞ。」




夏目の頭に乗るニャンコ先生が

真上を見上げて告げる。




「ニャンコ先生・・・。


さな?

早くこっちへ!」



ニャンコ先生が頭に乗った事により

その重みでガクンと首を落とす夏目が

崩れないように、なんとか踏ん張り


ピタリと動かないさなに向かって

手を伸ばした。


・・・が、しかし



「さな?どうしたんだ?」



胸の前で手を組み俯くさなは

何の反応も示さない。



先程の夏目の言葉には返事をした筈・・・。



「・・・さな?」



夏目が疑問に思い、

さなの傍に近付こうとした

その時だった、





ーバリンッッ!!!



凄まじい音を立てて

勢い良く割られる窓ガラス。




「 ッな?!」


「 気をつけるんだ!」


「 ・・・来たか。」




思わず目を伏せる夏目に

注意を促す名取。


その二人とは対照的に

好奇的に口角を上げる的場が

弓を構える。





そして夏目が視線を窓に戻せば

窓付近は真っ黒なスモークが

モクモクと沸いており・・・




「・・・くッ!


さな!!何処だ、さな?!」



ふわりと風に乗って黒煙が体内に入る。

噎せるような感覚にもめげず

腕で口元を押えて

目の前に居た筈のさなの名を呼ぶが

その姿は黒煙に呑まれ目視では確認出来ない。



「 ・・・さな!」



「 待て、夏目。」




飛び出す夏目を静止させたのは

ニャンコ先生だった。


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