第12章 ◆夜が明け
その時だった、
ーガタガタガタ・・・!
「 ・・・っ?!」
海上にある筈の船内で
地震のように揺れる部屋全体。
微々たる振動ではあるが
夏目はいち早く気付いた。
「 ・・・何だ?
揺れている・・・のか?」
ニャンコ先生の話より
夏目が真上を見上げ
小刻みに揺れる電球を見詰める。
すると、
「 ・・・ふん、
何でしょうね。
次から次へと・・・。」
一息吐いた的場が
その場にゆっくりと立ち上がった。
片手には磨き上げた弓を確りと握り・・・。
「 また一波乱ありそうだ。」
的場に続いて名取が立つ。
名取も、整理された札を数枚
右手の人差し指と中指で挟み
その場に立つ。
「 ・・・?」
その異様な雰囲気に包まれた室内の様子を
怪訝な表情で見渡すのは健司のみ。
妖力の殆ど消えている健司には
その気配は疎か、室内の振動すらも
感じられてはいないのだ。
しかしそれを公言した所で
この場の者が御丁寧に説明する筈もないと
察した健司はその事は語らず、
皆の行動を静かに見届ける事にした。
そして、
窓の外を眺めていたさなも
異変を察知して視線を室内に移した。
「 ?」
しかし、
さなは今までの会話を
何処か上の空で聞いていた為に
現状があまり理解出来ず
夏目に向かって首を傾げていた。
「 さな、
危ないからこっちへ来るんだ。」
目を真ん丸くさせて
首を傾げているさなの視線に気付き
窓の近くは危ないと感じた夏目が
さなを部屋の中央部分へと呼んだ。
「 ・・・はい。」
少しずつ重くなる室内の雰囲気。
そこに恐怖を感じたさなは
夏目の言う通りに
ガタガタと揺れる部屋の
中央へ移動をする。
・・・いや、
正確には
移動をしようとした。
「 ・・・ッ?!」
さなが足を踏み出した瞬間に
背後の窓が真っ黒に染まり
外からの明かりを遮断したのだ。
そして、
一気に伸し掛るような重圧に襲われ
さなは金縛りのように動けない。