第12章 ◆夜が明け
「 ふん、
まだまだ餓鬼だな夏目。」
「 うるさいぞ先生。」
また窓の外へ視線を向けるさなに背を向け
はぁ、と溜息をつく夏目に
ニャンコ先生は欠伸をしながら突っ込む。
「 偶に、
心臓に悪いんだよ・・・。」
ニャンコ先生に悪態をつきながら
小声で本音を零す夏目は
さなが居る窓とは
斜めに位置する窓の方へと
トボトボ移動した。
「 ・・・しかし、夏目。」
「 何だよ、まだ何か悪口か?」
ポトっと下に降りるニャンコ先生が
その場で夏目を見上げ声を掛ければ
夏目は窓枠に肘を乗せ
気だるそうな返事をする。
「 ・・・何やら近くに妖の気配があるぞ。
それも気味の悪い輩だ。
祓い屋共の式では無いな、気を抜くなよ。」
「 ・・・あぁこの気配、
俺も少し気になってたんだ。
多分、あの二人にも・・・。」
ー・・・気付いているだろう。
その言葉は口には出さず
小声でニャンコ先生と会話をしながら
夏目はちらっと名取と的場の方へ
視線を向けた。
「 ・・・やっぱり。」
それは、
夏目が目にした
想像通りの光景。
それは何気なく過ごす空間で
名取は札を数枚整理しながら
的場は弓を磨くような仕草で
二人共いつでも戦闘出来る態勢であった。
「 ・・・ニャンコ先生、
狙いは何だろう?」
夏目が視線を
名取と的場から窓の外へ戻し
ニャンコ先生へ問いかける。
「 ・・・さぁな。
気配はこの真上の部屋からだ、
・・・友人帳狙いでは無いだろう。」
「 この真上の部屋、か・・・。」
ニャンコ先生の言葉に
夏目はふと、天井を見上げた。
「 この真上の部屋って・・・」
夏目は自身で発した言葉に
ハッとする。
そう、
その真上の部屋とは
・・・術の行われた部屋。